岩千鳥(イワチドリ)では、大仁王という系統がよく知られていますが、これは、“大仁王”という名前の大輪円弁花を基にして作出された系統で、羽蝶蘭の仁王タイプのように、中裂片の発達した形状の花とは根本的に異なります。しかし現在では、岩千鳥や沖縄千鳥にも、羽蝶蘭の仁王タイプとほぼ同じ形状の花が、大量に作出されています。
岩千鳥と羽蝶蘭の仁王タイプの違いは、岩千鳥は中裂片の中央が割れているものが多いということですが、連舌もあり絶対とは言えません。
また、獅子咲き紅一点などの岩千鳥も、すでに2006年頃から、関東地方の一部の園芸店では店頭に普通に並べられていました。私のところでは2002年から咲いており、現在では改良の進んだものだけで膨大な数が存在します。しかし、マニア向けの園芸誌などでは、広告主が所有しないタイプの花の写真は一切掲載されないため、一般には知られることもなく、いまだに低レベルの花が高値で売買されている現状があります。このことは、岩千鳥や羽蝶蘭だけではなく、すべての園芸植物において同様です。
岩千鳥も今後は、羽蝶蘭のように中裂片の発達した“仁王タイプ”が基本形になります。細弁花などの特殊な花形は、きちんと整った形であれば、一部のマニアなどには好まれるかもしれません。
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